みんなで読む哲学入門

Ph.Dが講師の市民講座(上野ゼミ)

2018年度 ゼミナール

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ハンナ・アーレント(Hannah Arendt)

春期

KUNILABO人文学講座「アーレントからの政治哲学入門」アンコール企画
夜スク「ハンナ・アーレント入門〜共和国のはじまり〜」
2018年5月31日(木)第1回《リベラル・アーツとしての政治哲学》
2018年6月  7日(木)第2回《アーレントにおける共和国ルネサンス
2018年6月14日(木)第3回《アーレントケンブリッジ学派》
2018年6月21日(木)第4回《アーレントレオ・シュトラウス

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昨今の教養ブームや人文学への一定の関心の高まりには、小手先の技術論では現代社会が抱えている本質的問題に対応できないという意識が背景に見られます。政治を単なる事情通としてではなく、哲学的な視点から考えるために格好の素材として、本講座ではアーレントの諸著作をとりあげます。特に歴史的な視座を大事にしつつ、専門知とは異なる総合的な教養=リベラル・アーツとして政治哲学を学びましょう。
上野大樹・記)
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国分寺市のオーガニックカフェ「カフェスロー」の市民講座「夜スク」のプログラムのひとつとして、「KUNILABO」2017年9月期の人気講座「アーレントからの政治哲学入門」のアンコールが開催されました。
「専門家や地域の人々、 様々なバックグランドを持つ人々と、共に学び合う「大人の学び場」を作る。」をコンセプトとした「夜スク」では、全4回の講座終了後も、講座で喚起された参加者の学習への興味を応援してくださり、講師と参加者の集いの場を継続してくれることになりました。


秋期

2018年9月20日(木) 春期のおさらい勉強会
2018年11月15日(木) アーレントレオ・シュトラウスおさらい

秋期は、春期の復習をしながら難解なアーレントの思想をそれぞれ勉強することを通して哲学の学び方や、図書館の活用、哲学辞書や百科事典の使い方などを改めて教わりました。
アーレントの政治哲学にかんする新書や文庫なども複数紹介され、基礎知識が増え、初めての哲学ですが、自分なりの勉強の仕方もだんだんわかってきます。
次はいよいよ、アーレントの著書に挑戦。まずは軽いエッセイから入ってみることになりました。


冬期

2019年1月29日(火) アーレント「啓蒙とユダヤ人問題」を読む
2019年3月  7日(木) アーレント「独創的な同化」を読む

春から学んで来たアーレントの哲学について、ついにアーレント自身の文章を読みます。哲学辞書を引き、当時の時代背景を世界史レベルで復習しながら把握に努め、エッセイとはいえ読み慣れないと難解な哲学者の記述を読み解く試みを各自行いました。
また、20世紀のドイツでアーレントが抱いた国民国家への問題意識は、アーレントが古典と呼ばれる現代でも変わらない事が見えてきます。現代の問題に置き換えて議論を試みてみると、それを語り合うこと、答えを出す事がいかに難しいか、実感できました。

 

参考文献

アーレント

ハンナ・アーレント」 矢野久美子著 中公新書
今こそアーレントを読み直す」 仲正昌樹著 講談社現代新書
アーレント最後の言葉」 小森謙一郎著 講談社選書メチエ

 

政治哲学・思想

徳川時代の宗教」 R.N.ベラー著、池田昭訳  岩波文庫
 「近世」と独自分類される日本の江戸時代の文化状況を知るための本。

哲学・思想翻訳語事典」 柴田 隆行 論創社
 「幕末から現代まで194の翻訳語を「原語の意味」を確定したのち周辺諸科学を幅広く渉猟し大・中・小の項目で“読む事典”として解剖する。」(出版社WEBサイトより)

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福」 ユヴァル・ノア・ハラリ著  柴田裕之訳 河出書房新社
ベストセラー本。授業中に出た話題について先生から理論的な裏付けをする参考図書として紹介。「妖怪」という概念を生み出すのは人間だけ、という疑問にまつわる論考がある(はず)。

 

講師紹介

上野大樹(うえの・ひろき) 1983年生まれ。
一橋大学社会学研究科研究員。思想史家。京都大学大学院人間・ 環境学研究科博士後期課程修了。京都大学博士。 日本学術振興会特別研究員DC、同特別研究員PD等を経て現職。 一橋大学立正大学慶應義塾大学にて非常勤講師。 最近の論文に、"Does Adam Smith's moral theory truly stand against Humean utilitarianism?" (KIT Scientific Publishing, 2020), "The French and English models of sociability in the Scottish Enlightenment" (forthcoming).